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~美術史学~
【美術史家...美術史学とは何なのか?】
 近年、美術史の研究に多くの関心が寄せられるようになった。 その背景には「ダ・ヴィンチ コード」が人気を博した結果(2006年現在)もあるかもしれないが、 日本では、ずいぶん前から宗教的ではなく、比較的主題のわかりやすいモネ、ルノワール、セザンヌといった 印象派の人気が定着し、都会を中心に、それらの作品が美術館や展覧会を通して、頻繁に見られるようになった。
 例えば美術館で絵を見ていて、気に入った作品があれば、誰によって、いつ描かれ、どんな主題が選ばれているのか? と思うことは当然のことであり、美術鑑賞の基本でそれを楽しむ一番の方法でもある。 実はここに、美術史学との大きな違いがある。美術鑑賞が、美的な価値や構成、様式などを基礎として 批評をしていくものである一方、美術史学とは一言で、

 ⇒視覚で感じたものを記述し、分析する

と言える。すなわち、作品を文化的、社会的、歴史的な観点から考察して、 理論的に説明することなのだ。 ただ、それだけが目的ではなく、美術史学を通して時代を知ることである、とも言えるのではないだろうか。

【美術史家の誕生】
 古代美術と建築について記述された「博物誌」は、プリニウス(24-79)というローマの著述家だと 言われている。これは全37巻からなり、作品だけではなく芸術家の生涯も記されており、ルネサンス期の美術 価値と、後に誕生する美術史家に大きな影響を与え、その煽りを多く受けたのが、イタリアの画家で建築家でもあった ジョルジョ・ヴァザーリ(1511-74)だと言われている。彼の記した「美術家列伝」も、美術史の基本資料として 使われている。

【美学】
 美術作品を年代順に並べ、様式ごとに分けるという作業だけでは、美術史家としては無論、不十分だ。 美術史を考えると言うことは、様々な著述や理論の思想や哲学を考える、とも言えるのである。
 18世紀、

 我惟(おも)う、ゆえに我あり

と唱えたデカルトの哲学は、思考が視覚に勝るという考えを位置づけ、美術史学の確立に影響を与えた。 ところが18世紀半ばになると、感覚を基盤とする「美学」という言葉の誕生と共に、美術史学にとって 大きな前進があり、重要性に対する考え方も変わってきた。
 美術の目的は自然を模倣することである、ギリシア古代美術を頂点と考え、そこからは衰退であると分析した 美術史家、ヴィンケルマンの主張に対して、

 美術とは、完璧に等しいものをつくりあげ、知覚認識を創造することである

と唱えたのが、この「美学」の問題にいち早く取り組んだバウムガルテンであった。 やがて彼の思想は、哲学者カントの「判断力批判」の基礎となる。 カントは、美学と倫理学を絡み合わせて、

 美に対しては個々の趣味が存在し、その判断は道徳的である

とヴィンケルマンの思想に異を唱えた。その後、美術や美学という概念は多くの哲学者や思想家によって 定義され、パノフスキーやヴァールブルグによって、 イコノロジー(図像解釈学)へと発展していく。


<ヴィンケルマン>
美術の目的は自然を模倣すること。古代美術が頂点に達し、そこからは衰退に向かっている。
 
 
 
<バウムガルテン>
美術は不明瞭なイメージから完璧に近いものを創造し、理性ではなく知覚で理解される。

対立
<ヘーゲル>
美術は歴史を理解するのに最も重要な精神であり、広大な歴史過程の一部として作用する。
影響
影響
<カント>
美の判断は個々によって多様である。そして天才と趣味の概念は、芸術家や鑑賞者の道徳的性格による。
<マルクス>
「イデオロギー」の概念を導入。美術とは社会的な生産物で、消費されるものである。


<フロイト>
美術作品は、芸術家の無意識な作用である。また、それらにエディプス・コンプレックスが見られると提唱。


 また、失言とは、その人の抑圧された考えである、と唱えた精神分析学者のフロイトは、 美術の制作過程や制作行為は、芸術家の無意識的なイゴである、と異なった美術の考えをうながした。

 こうした歴史哲学から考察する美術史学のほかに、完全に歴史から切り離した方法が、上記に挙げた フロイトによる「精神分析理論」と、これから説明する「記号論」の2つであり、現在でも有効な手法である。

【イコノロジー(図像解釈学)】



<参考文献>
■ マルシア・ポイントン著 『はじめての美術史』 スカイドア 1999年 
■ ダナ・アーノルド著 『美術史』 岩波書店 2006年



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