美術作品を年代順に並べ、様式ごとに分けるという作業だけでは、美術史家としては無論、不十分だ。
美術史を考えると言うことは、様々な著述や理論の思想や哲学を考える、とも言えるのである。
18世紀、
我惟(おも)う、ゆえに我あり
と唱えたデカルトの哲学は、思考が視覚に勝るという考えを位置づけ、美術史学の確立に影響を与えた。
ところが18世紀半ばになると、感覚を基盤とする「美学」という言葉の誕生と共に、美術史学にとって
大きな前進があり、重要性に対する考え方も変わってきた。
美術の目的は自然を模倣することである、ギリシア古代美術を頂点と考え、そこからは衰退であると分析した
美術史家、ヴィンケルマンの主張に対して、
美術とは、完璧に等しいものをつくりあげ、知覚認識を創造することである
と唱えたのが、この「美学」の問題にいち早く取り組んだバウムガルテンであった。
やがて彼の思想は、哲学者カントの「判断力批判」の基礎となる。
カントは、美学と倫理学を絡み合わせて、
美に対しては個々の趣味が存在し、その判断は道徳的である
とヴィンケルマンの思想に異を唱えた。その後、美術や美学という概念は多くの哲学者や思想家によって
定義され、パノフスキーやヴァールブルグによって、
イコノロジー(図像解釈学)へと発展していく。
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<ヴィンケルマン>
美術の目的は自然を模倣すること。古代美術が頂点に達し、そこからは衰退に向かっている。 |
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| <バウムガルテン>
美術は不明瞭なイメージから完璧に近いものを創造し、理性ではなく知覚で理解される。 |
⇔ 対立 |
<ヘーゲル>
美術は歴史を理解するのに最も重要な精神であり、広大な歴史過程の一部として作用する。 |
影響 ↓ |
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影響 ↓ |
| <カント>
美の判断は個々によって多様である。そして天才と趣味の概念は、芸術家や鑑賞者の道徳的性格による。 |
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<マルクス>
「イデオロギー」の概念を導入。美術とは社会的な生産物で、消費されるものである。 |
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<フロイト>
美術作品は、芸術家の無意識な作用である。また、それらにエディプス・コンプレックスが見られると提唱。 |
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また、失言とは、その人の抑圧された考えである、と唱えた精神分析学者のフロイトは、
美術の制作過程や制作行為は、芸術家の無意識的なイゴである、と異なった美術の考えをうながした。
こうした歴史哲学から考察する美術史学のほかに、完全に歴史から切り離した方法が、上記に挙げた
フロイトによる「精神分析理論」と、これから説明する「記号論」の2つであり、現在でも有効な手法である。
【イコノロジー(図像解釈学)】
<参考文献>
■ マルシア・ポイントン著 『はじめての美術史』 スカイドア 1999年
■ ダナ・アーノルド著 『美術史』 岩波書店 2006年
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