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■ ヴェルフリン(Wolfflin, 1886-1945)
ドイツの美術史家。「美術史の基礎概念」を発表し、様式の間の相違を確立する5対の両極的概念を定義しました。
1 <線的>と<絵画的>
2 <平面的>と<奥行的>
3 <閉>と<開>
4 <多数性>と<統一性>
5 <明瞭性>と<不明瞭性>
彼は盛期ルネサンスとバロックの美術研究をし、様式の相違を読みとり、
理解をするのに役立つ5つの
原則を発見した。それによるとまず第一の対概念として、
<線的>と<絵画的>が挙げられる。
それは人物の輪郭線が引かれていて、固体同士の境界線があるかどうか、と言う点にあるそうだ。まず、下の2つの
作品を見てみると...
【盛期ルネサンス】 聖母の子/ラファエロ/1507

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【バロック】 4人の福音書記者/ルーベンス/1614

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ラファエロのほうは、線的に描かれていることと、すべてに光が均等に照らされており彫刻のように浮き出ているため、
ものの形態は明確だ。一方ルーベンスのほうは、
一方向から射す光によって明るく照らし出される部分と、まったく
光が当たらないために輪郭線の見えなくなっている部分とがあり、
その溶け合ったような境目から絵画的といえる。
第二に<平面的>と<奥行的>であり、
イエスとヨハネは聖母よりも少し前に居るはずであるが、
3人とも一連の平面の上に描かれているために、まったく奥行きが感じられなくなっている。
ルーベンスのほうは、斜めに配置された構図があり、
視覚は自然と手前から奥へと動いているため奥行きが生まれている。
第三の対概念は<閉>と<開>である。
聖母子のほうは三角形の構図を用いているために、画面全体を
通すと均衡がとれていて安定しているが、
そのために閉ざされた印象を与えるということだ。福音書のほうは、
斜めの線が、垂直線と平行線と交じり合い、画面全体に躍動感があるためラファエロのような、
静止的な落ち着きは見受けられない。
第四の対概念は<多数性>と<統一性>で、
ルネサンスでは極端に言うと塗り絵のようで、彫刻的な
下図に固有の1色で塗られていて、明確に区別された部分によって構成されている。
一方バロックのほうは、
部分的に切り離すことは不可能で、特に光によって表現された多くの色彩の見え方は、
全体的に溶け合っている。
最後は<明瞭性>と<不明瞭性>だ。
2枚の絵の最もわかりやすい相違点かも知れない。
ラファエロの聖母子は、全ての登場人物がはっきりと誰だかわかるように描かれているが、一方
ルーベンスの人物は、主題の中心的人物に影をつけたり、背後から描くことによってドラマ的な
効果を上げている。
このようにしてヴェルフリンは、盛期ルネサンスとバロック絵画の相違の原則を見出し、相互の
関連性を指摘した。
<参考文献>
■ スーザン・ウッドフォード著 『ケンブリッジ 西洋美術の流れ8 絵画の見方』 岩波書店 1995年
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